- 大谷石の張り方ってどんなパターンがあるのだろう?
- 張り方によってデザインはどう変わるのかな?
- 自分好みの張りパターンを探したい!
そう思う人は多いと思います。
分からなくて当然です!普段から意識して見ていないと石の張り方の違いなんて気が付かないでしょう。
同じ大谷石でも張り方によって見た目の印象は大きく変わります。
大谷石を選ぶ人はデザインに拘っている方が多いと思いますので、押さえておきたいポイントですね!
ここで筆者のプロフィールを紹介します。
- 内装業に携わり15年
- 自宅にも大谷石を採用、施工実績もあり!
- デザイン提案・見積もり・発注・現場監理をワンストップで経験
- 業界経験を活かしてDIYに挑戦中!
仕事柄、石張り(タイル張り)は何度も経験してきました!
最近ではショップでも大谷石を使うことが多くなり、クライアントと一緒に設計さんと大谷石の張り方をどうするか?を提案しています!
当記事の内容は下記になります。
- デザインを左右する「目地」の基本的知識
- 3種類の張りパターン
- 「眠り目地」という張り方
- それぞれのパターンの強みを比較
大谷石の張りパターンは「『目地』をどう見せるか」で変わってきます。この違いが3パターン。
更にその目地をなくした『眠り目地』という張り方についての解説。目地が無いからこそのデメリットにも触れて行きます。
当記事を読む読者のメリットはこんな感じです。
- 自分好みの張りパターンが見つけられる
- デザイン以外にも検討すべき点が分かる
大谷石は決して安い材料ではないので、あとで後悔しないためにも納得いくまで拘りたいですよね。
張りパターンの他にも「石目の種類」「仕上げの種類」についても知りたい人は下記記事を参考にしてください!
大谷石の種類(石目)については下記の記事を参考に!
【大谷石の選び方】色は1種類、石目は3種類!石目の特徴が分かれば失敗しない!
大谷石の仕上げの種類については下記の記事を参考に!
【大谷石のデザイン】仕上げの種類11選を厳選!選ぶポイントは直感で大丈夫です
【重要】目地はデザインに大きく影響する
先ず大谷石の張りパターンにとって重要な「目地」について触れておきます。
あまり馴染みのない言葉だと思いますが、目地によって大谷石のデザインは大きく変わりますので覚えておきましょう!
目地とは
『目地』について理解しましょう。
ウィキペディアではこのように解説されています。
- 建築物やド目構造物において少し間隔を空けた部材間の隙間・継ぎ目の部分
- 組積みする石・レンガ・コンクリートブロックの継ぎ目、あるいは仕上げに貼るタイルの継ぎ目を指す
ざっくり言うと石と石の隙間のことですね!
基本的には石を張るときは石と石の間に少し間隔を空けて張っていきます。
間隔を空けてできた隙間を『目地』と言い、この隙間を埋める充填剤のことを『目地材』と呼びます。
そして目地をどう配置するかを『目地割り』と言います。
目地割りとは
次に『目地割り』についてです。
目地割りとは
- 目地をどのように通すかを計画すること
- 石をどのように配置するかを計画すること
この作業は石張りにおける設計行為となり、意匠的にも重要な作業になります。
この目地割りのパターンによって張りパターンが変わってくるってことですね!
目地の役割
少しだけ目地の役割について解説。そもそもなぜ目地は必要なのか?
理由は目地は意匠的な役割と機能的な役割があるから
目地の機能的な役割4つ
- 大谷石を守る緩衝材になる
- 製品寸法の誤差や施工による誤差を調整することができる
- 接着の補助になる
- 水の侵入を防ぐことができる
外壁や敷石で石を張るときは目地を入れることをおすすめします。
目地についてのメリット・デメリットについては下記の記事で詳しく解説しています!
⇒【大谷石】目地あり、目地なしのメリット・デメリットを徹底解説!これでもう悩まない!
【目地割り】大谷石の張りパターン3つ
目地割りの張りパターンを3つ紹介。
大谷石の張りパターンについては以下の3つを押さえておけば大丈夫です。
- 芋目地張り(芋張り)
- 馬目地張り(馬張り)
- ランダム方形張り
それについては別の記事で紹介します!
芋目地張り(芋貼り)
- 縦横、一直線に目地を通す張り方
- 規則正しくきれいな印象になる
- 少しでも目地がずれるとすごく気になる
良く街中で見かける一番オーソドックスな張り方です。
縦横と一直線に目地が通るので、きっちりしたきれいな仕上がりになります。
ただし注意したいのは、タイルが少しでもズレると目地の直線が歪んでしまいます。
とても目立つので職人さんの腕の見せどころですね!
芋目地張り参考写真
馬目地張り(馬張り)
- 横方向は一直線に目地を通す
- 縦方向は半分づつ石をずらして張る
- 段違い目地になる
- 目地がアクセントとなり印象的な見た目になる
石の大きさや目地の色を変えることによってデザイン性を楽しむことができます。
長方形のタイルを張るときに良く使われる手法。
※別名:破れ目地とも呼ばれます。
馬目地張り参考写真
ランダム方形張り
- 方形でサイズ違いの石をランダムに張る
- 縦も横も目地は通さない
- 複雑で目を引くデザインになる
- 施工費は上がる
方形の石をサイズ違いでランダムに張ることにより、目地で複雑な模様を描くことができます。
デザイン性が高くセンスが問われる手法。
所々で石の表面仕上げや、厚みを変えたりすることも可能でデザインの幅が広いのが特徴的。
演出照明で陰影をつけたりと見せどころが満載です。
ただし、石をカットしなければならないのでロスが出やすく施工単価は上がると言うデメリットも。
ランダム方形張り参考写真
【眠り目地】目地を入れないパターンもある
敢えて目地を入れない張り方もあります。
石の張りパターンは芋・馬・ランダムと目地ありパターンと同じです。
違いは石を隙間なく配置することによって目地をなくすところにあります。
眠り目地とは
- 隙間なく石を密着させ目地をなくす張り方
- 高度な石の裁断精度が求められる
- 仕上がりは美しく、一枚の石のように見える
- 高級感がある
全体的にすっきりとした印象となり、ひじょうに美しい仕上がりに。
目地がないので柄が途中で切れることなく、柄が連続した一枚の石のような表現ができます。
石の柄を通したい時などには効果的な張り方ですね。
見た目を重視したいときに効果的です。
眠り目地張り参考写真
眠り目地のデメリット
眠り目地はとても美しい仕上がりになります。
特に大谷石ではミソの柄が目地に邪魔されることなく連続するため、圧巻の美しさがありますよね!
ただ、目地がないことによるデメリットもあります。
デメリットを理解した上で検討しましょう!
- 欠けやすくなる
- 熟練工のスキルが必要
- 屋外や敷石には向かない
欠ける可能性がある
目地は石を守る緩衝材の役割もあります。
加えて、大谷石は軟石なので地震が多い地域では注意が必要です。
揺れによって石の端が欠けるなどのリスクが高まります。
熟練工のスキルが必要
石の寸法を正確にカットする裁断精度も必要ですが、張り手側の施工精度は高度な技術が求められます。
目地がないので寸法の調整ができません。
ミリ単位で少しでもズレてしまうと、そのあとに張る石もずれてくるので収拾がつかなくなります。
技術を要するので割増見積もりになる場合もありますね。
屋外や敷石には不向き
屋外では雨に降られる可能性があるので、眠り目地は不向きです。
目地は水の侵入を防ぐ役割もあるので屋外で張る場合は目地を入れましょう。
また、敷石も不向きです。
人が歩く場所なので石に負荷がかかります。
石が欠ける原因にもなるので、敷石で使う場合は目地を入れたほうが良いでしょう。
張りパターンを決める前に目地を入れるか入れないかを決めよう
張りパターンを考える前に考えたいことは
『目地を入れるか?入れないか?』
先ずはこれを決めましょう。
目地を入れるか、入れないかはデザインに大きく影響してきます。
- 目地あり・・デザイン性があり動きのある空間に
- 目地なし・・シンプルで清閑な空間に
大谷石そのものがミソの個性的な柄と、落ち着いた色目と、静と動を併せ持った石なので目地を使うことでより動にも振れますし、目地なしで静にも振れます。
先ずは方向性を決める意味でも目地の有無を決めることが大事ですね!
【まとめ】張りパターン比較!方向性を決めよう!
大谷石の張りパターンを紹介してきました。
先ずは『目地割り』と言う作業で石の配置パターンを考えます。
大谷石を貼るときの石の配置パターンは3つですね!
- 芋目地張り
- 馬目地張り
- ランダム方形張り
目地がないタイプの張り方もあります!
- 眠り目地
それぞれの特徴を簡単に表にまとめましたので、選ぶ際の参考にどうぞ!
芋目地張り | 馬目地張り | ランダム方形張り | 眠り目地張り | |
張りパターン | ||||
目地 | あり | あり | あり | なし |
シンプル | 〇 | 〇 | △ | ◎※ |
デザイン性 | △ | 〇 | ◎ | ◎※ |
耐久性 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
コスト | 並 | 並 | 高い | 高い |
※眠り目地も芋・馬・ランダム方形張りが可能です。
眠り目地を選ぶ際は、目地なしのデメリットも十分に理解しましょう!
- 欠けやすくなる
- 熟練工のスキルが必要
- 外壁、敷石には向かない
目地にはデザイン性を高めるだけでなく、機能性も高める役割がありましたね。
- 大谷石を守る緩衝材になる
- 製品寸法の誤差を調整することができる
- 接着の補助になる
- 水の侵入を防ぐことができる
目地を入れるか、入れないかが決まれば、あとはどのような空間にしたいかで張りパターンも決まってきます。
- とにかくシンプルにしたいなら、眠り目地の芋張り
- 少し動きも出しつつ大谷石で落ち着いた空間にしたいなら、馬目地張り
- デザイン重視で思い切り目立出せたいなら、ランダム方形張り
など方向性を決めてイメージをすると良いでしょう!
素敵な大谷石空間にしましょう!
最後までお読みいただきありがとうございましたー
コメント