- せっかくの大谷石が劣化するのは嫌だな
- 劣化を防ぐ方法はないのかな
- 少しでも長くきれいな状態を保ちたいな
- 大谷石を使いたいけど劣化するから悩み中
よくこんな大谷石見たことありませんか?
確かに大谷石はほかの石と比べて劣化が激しく、見た目も大きく変化してきます。
大谷石を使いたいけど、採用に踏み切れない原因にもなってますね。
そこで今回は大谷石の劣化を防ぎ美観を保つメンテナンス方法を解説!
- 内装業に携わり15年
- 自宅にも大谷石を採用、施工実績もあり!
- デザイン提案・見積もり・発注・現場監理をワンストップで経験
- 業界経験を活かしてDIYに挑戦中!
いつまでも大谷石の美しさは保ちたいものですよね。
大谷石に限らず、木材でもそうですがメンテナンスはとても重要。
ひと手間かけることで経年劣化の速度は段違いに変わってきます。
大谷石にはどのようなメンテナンスが必要か?結論を先に言いますと
これだけでは良く分かりませんよね?
詳しく解説していきます。
- そもそもなぜ劣化するのか
- 劣化を防ぐためのメンテナンス方法
- おすすめのコーティング剤
- コーティングに必要な道具と施工手順
- コーティングによるメリット、デメリット
大谷石を検討中の方も、大谷石を採用した方もこの記事を読めばうまく大谷石と付き合っていくことができます!
大谷石はなぜ劣化しやすいのか?
先ずは大谷石が劣化する理由を知りましょう。
大谷石は必ず劣化するもの。劣化を100%防ぐことはできません。
ただ、どうして劣化するのかを知っておくことで意識的に劣化を遅らせることもできます。
そもそも岩質が柔らかく劣化しやすい
前提として大谷石は劣化しやすい石になります。
なぜなら岩質がとても柔らかいという性質を持っているため
- 地上環境下での風化の進行が早い
- 風化による強度低下や変色
- 岩石表面の欠落
といった経年劣化が見られます。
その反面、柔らかい性質による加工性の高さはメリットになっています。
吸水による強度変化
大谷石は多孔質構造のため吸水性に優れています。
この吸水能力が強度低下の原因に。
吸水によって下記の研究発表があります。
- 乾燥状態より飽和状態の方が強度は小さい
- 含水状態によって強度に違いがある
- 飽和状態から乾燥状態になった際に基質部乾燥伸縮が起こる
風化による強度低下は、降雨や湿度変化による水分供給により基質部の結合力が弱まることで起こると考えられています。
参考:第38回土木学会関東支部技術研究発表会『水分変化に伴う大谷石の風化メカニズム』
吸水による変色と雨によるカビの発生
変色すること自体は劣化ではありませんが気になる人多いはず。
- 採掘して間もない水分を含んだ湿潤状態のときは深青色
- 乾燥するに従い淡緑色
- 時間経過に伴い次第に赤褐色
と言ったように大谷石は変色していきいます。
この変色を楽しむのも一つですが、気を付けなければいけないのが雨の影響を受けて黒く変色しやすいといという事。
雨は黒カビ発生の原因となっています。
また雨や雪による水分供給で給水膨張を繰り返すことに伴い、表面劣化の原因に最も影響すると考えられています。
参考:Journal of the Society of Materials Science,Japan「大谷石の紹介」
おすすめのコーティング剤とそのメリットとは?
劣化が起こる原因は大谷石の特徴が関係していることが分かりました。
- 岩質が柔らかいこと
- 吸水性に優れていること
この2点の特徴を解消できれば劣化は防げそうですね!
そこでおすすめする方法は・・
施工方法はとっても簡単で、必要なのはコーティング剤と塗装道具。
コーティングすることでどんな効果があるのか?おすすすめのコーティング剤を解説していきます。
おすすめのコーティング剤は?
市販で買えるコーティング剤はいくつかあります。
そのなかでもおすすめコーティング剤2つを紹介。
MIYAKI クレストン
大谷石に代表される多孔質石材専用の浸透性保護剤。
優れた撥油性と撥水性を持った保護層を形成し汚れの浸透を抑制できるので、汚れにくく、汚れてもメンテナンスがしやすい表層をつくります!
ヤブ原産業 Hey浸透フィニッシュ
大谷石との相性がとてもよく、表層強度を回復させ、劣化、脆弱化の進行を食い止めます。独自のナノテクノロジーを応用した浸透力が特徴的!
表層強化によって吸水性を抑えて空気の遮断性を高めて大谷石を保護します。
コーティング剤を塗布する3つのメリット
大谷石の表面をコーティングすることにより下記の効果があります。
- 表面を硬化することができる
- 吸水を抑制することができる
- 色の移り変わりを均一にできる
それぞれ見ていきましょう
表面を硬化することができる
大谷石深くまで塗布材が浸透することにより、表面硬化と結合力が向上。
表面硬化により風化の進行を遅らせ、ミソの欠けや石肌の崩れも大幅に軽減することが可能に。
汚れも付きにくくなるので美観を保つこともできますね!
吸水を抑制することができる
表面コーティングをして膜を作ることにより吸水能力を抑制。
大谷石は空気中の水分、湿気を吸収する特徴がありますが、表面コーティングにより撥水機能も備わりますので雨が当たる屋外では効果抜群です。
カビの発生抑止にもなります。
色の移り変わりを均一にできる
同じ大谷石の壁や塀でも
- 湿気や水分を多く吸った石
- 直射日光にたくさん当たった石
- 風を多く受けた石
など条件の違いで色の変化に違いがでてきてしまいます。
表面コーティングすることにより吸水抑止のほかに赤外線からの保護もできますので、色の移り変わりを均一にすることができます。
また経年変化でどうしても変色はしますが、ある程度変色を抑えることもできます!
コーティング剤塗布に必要な道具
準備する道具は基本的な塗装用品があれば大丈夫です。
最低限、下記の道具を準備しましょう!
- ラスター刷毛(ダスター刷毛)
- ローラー
- 塗装用バケツ
- 養生
ラスター刷毛(ダスター刷毛)
豚毛を使っているものが多く、高粘度の塗料や接着剤を塗布するのに使われます。
劣化が多少あり凹凸のある表面や、入隅などの細部にコーティング剤を塗布するときに便利です。
ダスター刷毛とも言われ字のごとく下地の掃除用にも活用!
必ず1本は用意しておきましょう!
ローラー
広い面に塗布するときはローラーが便利です。
一気に広範囲に塗布することができるので作業効率アップ!
毛の長さが3種類あり、塗布面の状態によって使い分けます。
- 平滑面は短毛
- 凹凸面は中毛
- 凹凸面が激しい場合は長毛
ローラーの長さもたくさんあるので塗布面積によって選びましょう。
塗装用バケツ
施工時にコーティング剤を入れておくバケツが必要です。
刷毛、ローラーに含みすぎた余分なコーティング剤を絞れるのでポタポタ垂れることを防げるのが嬉しい。
作業効率もグッとあがります!
養生
コーティング剤が周辺に飛び散らないように、しっかり養生してから施工しましょう。
養生に便利なマスカーを買っておくと便利です。
弱粘テープが予め仕込んであるので準備が簡単です。
床面にはロール養生を敷いておきましょう!
ロール状なので転がすだけで簡単に設置可能。気を付けていても床面には必ず飛び散ります。
特に室内ではマストですね。
施工手順
施工手順はいたって簡単!
ポイントは表面清掃と2回塗布することです。
- 周辺養生
- 表面の清掃
- コーティング剤の塗布(1回目)
- 乾燥
- コーティング剤の塗布(2回目)
先ずはマスカー養生、ロール養生を使い周辺の養生をしましょう。
石表面の清掃で剥がした破片が床に落ちるので施工後の清掃が楽になります。
また、気を付けていても塗布するときに必ずと言って良いほどコーティング剤が周辺に飛び散りますので、養生は基本ですね!
大谷石表面には汚れがホコリや汚れが付着しています。
ホコリや汚れが付着したままコーティングすると、一緒に硬化してしまうので表面はきれいに清掃してからコーティング剤を塗布しましょう!
- 室内の場合はラスター刷毛で掃き掃除を
- 屋外の場合はブラッシングや高圧洗浄で水洗いを
特に屋外は汚れが付きやすいので水洗いで入念に清掃しましょう。
劣化が進み表面がボロボロと崩れやすくなっている場合はスクレーパーで表面のボロボロを一旦剥がしてしまいましょう!
表面清掃が終わり、塗布面の下地処理ができたらコーティング剤を塗布します。
コーティング剤を必要分を塗装用バケツに移し万遍なくたっぷりと塗布。
- デコボコ面や細かい部分は刷毛で塗布。
- 広い面積の部分はローラーで塗布
乾燥時間は概ね30分~60分ほど。
季節や日照具合によっても違いまのでメーカーの取扱説明書をよく確認しておきましょう!
面倒ですが2回塗ってください。
塗布は1回ではなく2回行うとより効果があります。
1回目と同じ手順で塗布を繰り返して終わりです!
【要注意】表面コーティングにはデメリットもある!
表面コーティングすることのメリットを紹介してきましたがデメリットもあります!
デメリットもしっかり押さえておきましょう。
調湿効果がなくなる
劣化の原因となる給水能力は大谷石が持つ特徴(メリット)の一つでもあります。
その能力は高く、大谷石は珪藻土より高い吸湿能力があるのです。
室内で使うと湿度調整をしてくれて、快適な過ごしやすい空間作りが可能に。
コーティングすることにより、この調湿能力は無くなってしまいます。
脱臭効果がなくなる
大谷石には吸水能力と同じく、脱臭能力もあります。
これは大谷石の多孔質構造がもたらすメリットでした。
表面をコーティングしてしまうので多孔質構造の恩恵を受けられなくなってしまします。
脱臭能力を期待して玄関やトイレなどで使う場合は、コーティングは要検討ですね!
定期的にメンテナンスが必要
表面コーティングは定期的にメンテナンスが必要です。
- 壁は2年~3年
- 床は1年~2年
一度コーティングしたら終わりではありません。
定期的にメンテナンスが必要になるので手間とコストはかかります。
【まとめ】屋外はコーティング必須です
大谷石の劣化を防ぐためのメンテナンス方法を紹介してきました。
おすすめのコーティング剤を2つ紹介しました。
表面コーティングするメリットは下記のとおりです。
- 表面を硬化することができる
- 吸水を抑制することができる
- 色の移り変わりを均一にできる
一方で表面コーティングにはデメリットもあります。
- 調湿効果がなくなる
- 脱臭効果がなくなる
- 定期メンテナンスが必要
表面コーティングをすると大谷石の持つメリットがなくなるというデメリットがあります。
大谷石を屋内利用する場合は、コーティングは考えどころですね。
屋内でしたら雨、日照の影響も屋外程ありませんので、もともと劣化がそれほど進行しやすい環境ではないと言えますね!
ただ、屋外の場合は雨、日照が日常茶飯事です!屋外で大谷石を使う場合は表面コーティングはマストでしょう。
屋外なら調湿も脱臭も、正直そんなに関係ないですからね!
いつまでも美観を保つためにも表面コーティングを検討しましょう!
コメント
コメント一覧 (7件)
こんにちは!
以前から大谷石の記事を読ませて頂きとても参考にさせていただいております。
とても勉強になる記事をいつもありがとうございます。
以前変色を防ぐ方法の記事があったと思うのですが、なくなってしまったのでしょうか?
いつもありがとうございます!
記事を整理した時に消してしまったのかもしれません。。
大谷石の変色は完全には防げませんが、コーティング剤を塗布すると長持ちしますよ!
お返事ありがとうございます!🥺
変色してしまった後に戻す方法もありますか?🙇♀️
変色した大谷石を完璧に元に戻す方法はないみたいです。
一時的になら戻す方法はありますよ。
ビタミンCとクエン酸が入った清涼飲料水と塗布すると出荷時の青緑色に戻ります。
身近なところで言うとCCレモンとかですね。
ただ、一時的な効果なので完全には戻らないのが残念。
教えてくださりありがとうございます!!
こんばんわ!
大谷石のお話とても勉強になります。ありがとうございます。
ひとつお聞きしたいことがあります・・
浴室の壁に大谷石を張りたいと思っていますが大丈夫か心配です・・
実際どうなんでしょうか? 教えて頂けると助かります。
こんばんは!
コメントありがとうございます。
結論から言いますと、おすすめしません。。。
水分を含むと強度が弱くなってボロボロ崩れてきたり、カビの発生や変色を早めたりしてしまいます。
コーティングをすればいくらか防げると思いますが、浴槽の壁となると毎日水がかかるのでさすがに厳しいかと。
でも大谷石を眺めながらの入浴は憧れますよね~