壁・天井・造作を作るためのLGS工事は内装工事には欠かせませんよね。
一般住宅では木軸組が主流ですが、商業施設、オフィスなどの内装工事ではLGS(軽量鉄骨)を使うことがほとんどです。
そんなLGSですが大きく分けて2つの製品があります。
- JIS規格品
- 一般普及品
一般普及品はなんとなくイメージできそうですが、「JIS規格品ってなんだ?」そう思ったひとも多いと思います。
今回はJIS規格品と一般普及品について、こんな読者の疑問に答えます。
- JIS規格品ってなに?
- JIS規格品と一般普及品の違いはなに?
- それぞれのメリット・デメリットは?
- JIS規格品と一般普及品、結局どっちを使えば良いの?
JIS規格品と一般普及品には明確な線引きがあり、中には一般普及品を使ってはいけない現場もあるのです。
DIYなら一般普及品でも問題ないですが、プロの現場では知らずに使ってしまうと大変なことに!
工事やり直しという事にもなりかねないので知っていて損はないですね。
- イベント、内装業界に携わり15年
- 営業、提案、発注、現場と業界の裏側を一通り経験
- 時間と場所とお金のゆとりをDIYに全力投球
- 業界経験を活かした空間創り、物つくりを実践中
LGSは壁の下地になっているので業界経験者でない限り普段の生活ではあまり目にすることがないかと思います。
馴染みがないからこそ知識も入ってこないので、良く分からないまま使ってしまいがちですよね。
当記事を読めばこんなメリットがあります。
- JIS規格品を使わなければいけない現場がわかる
- LGSの材料選びで失敗しない
『JIS規格品と一般普及費』2つの製品の違いを学び、材料選びに失敗しないようにしましょう!
LGSにはJIS規格品と一般普及品がある
JIS規格品と一般普及品の違いについて解説。
見た目にはほとんど差がありませんが、LGSにはJIS規格品と一般普及品の2種類があります。
まずはそれぞれの概要を理解しましょう。
JIS規格品とは?
まずは『JIS規格』と言う言葉の意味について
- Japanese (日本)
- Industrial (産業)
- Standards (標準)
それぞれの頭文字をとってJISと呼び、直訳すると【日本産業製品の標準】
「標準=規格」となるのですが、規格とは製品の寸法や形状、材質などの標準を決め、「取り決め」を文章化したものです。この取り決めを定義したものを標準化(Standardization)と呼びます。
JIS規格とは日本規格協会によってつくられた規格の一つで、日本の産業制人に関する規格や測定法などが定められた国家規格となります。
例えばネジの寸法やナットのサイズがバラバラだと、その都度設計する必要があるので効率が悪く、時間とコストがかかります。
使用する消費者にとっても非常に手間。
標準化することで機械要素の共通化が図れ、互換性も生まれるので消費者にとっても大きなメリットとなります。
LGSのJIS規格はJIS A 6517にて決められており、寸法や板厚、品質や材質、性能などが定められています。
一般普及品とは?
メーカー独自で製品の寸法や形状、材質などの標準を決め標準化している製品のことです。
- JIS規格は国家規格
- 一般普及品はメーカー規格
ただLGSの一般普及品で言うと、基本的にはJIS規格品と材質、寸法は変わりません。
違いとしては材の厚みがコンマ何㎜か違うくらいでしょうか。
当然メーカーも厳しいチェックと検証試験を行っていますので製品の安全性は問題ありません。
【JIS規格と一般普及品】なぜ2種類あるのか?
単純に「JIS規格品だけで良くない?」と思いませんか。
なぜLGSはJIS規格品のほかに一般普及品が存在するのでしょうか。
理由は生産コストと工事費の削減目的です。
- 企業努力によって生産コストの削減し製品単価を下げる
- 一般普及品を使うことにより工事費用の削減をする
一般普及品は規格品に比べて単価が安く設定されています。
安全性はどうなのか?と言うところも気になると思います。
強度はJIS規格品の方が強いと言われていますが、正直大差ありません。
今まで一般普及品を使った工事で、強度不足による事故はなし!
※ただ、JIS規格品を使わなければいけない現場もありますので要注意を!
JIS規格品を使わなければいけない現場とは?
なかにはJIS規格品を使わなければいけない現場があります。
JIS規格品を使わなければいけない現場は施工写真の提出がある場合がほとんどなので、ごまかすこともできません。
知らずに一般普及品を使ってしまうとすべてやり直しになってしまうので要注意です。
公共施設の工事
国、県、市町村や各自治体の公共施設に関わる工事ではJIS規格品の使用がマストになります。
使った材料の証明や施工写真など、とても多くの書類提出があり細かくチェックされます。
工事より、施工後の書類提出の方が大変ですね。
建築工事
民間工事でも建築に関わる工事はJIS規格品の使用が必要です。
ゼネコンの下で工事をする場合はJIS規格品で施工しましょう。
建築工事でも施工写真の提出はあります。
A工事、B工事
商業施設の内装工事ではA工事、B工事、C工事という工事区分があります。
そのなかでもA工事、B工事ではJIS規格品を使う場合が多く、一般普及品はあまり使われません。
A工事、B工事ではその施設の建築(躯体)に関わる工事のため、施設側からJIS規格使用の指定がよくあります。
その施設のルールを確認しましょう。
A工事、B工事、C工事って何?と言う方は下記記事を参考にしてください!
【内装工事】A工事・B工事・C工事って何?工事区分を分かりやすく解説!
一般普及品でも大丈夫な現場とは?
一般普及品でも大丈夫な現場とは何でしょうか?
できるだけ一般普及品を使って工事費を安く抑えたいですよね。
民間の内装工事
民間工事の一般的な内装工事は一般普及品を使っても問題ありません。
公共施設や建築に関わる現場以外で、路面店舗やオフィスなどの内装壁、天井を作る際のLGS工事は特にJIS規格品を使わなければいけないという制限はありません。
一般普及品が多く使われています。
C工事
商業施設のC工事では一般普及品がメインで使われています。
テナント工事とも言いますが、出店者も出店費用をできるだけ安く済ませたいというのはどこも同じなので必然的に一般普及品が使われます。
まれにテナント工事を全体を管理している内装監理室からJIS規格品を使うようにと指定がある場合があるので、その施設のルールを事前に確認しておきましょう。
JIS規格品を使うメリット・デメリット
- 安心・安全
- 国家資格品という絶対的な信頼感
- 使ってNGなことがない
何といっても国家規格です。
厳格なチェックと検証試験を通過して完成された製品なので、安心安全と言う信頼感は大きなメリットです。
また、JIS規格品を使っておけばどんな現場でも間違いがありません。
- コストが高い
- 施工に手間がかかる
一般普及品に比べて、コストは高くなります。
単純に製品単価そのものが一般普及品と比べて高いという事もありますが、施工の手間もかかります。
大きな違いはスタッドです。
- 一般普及品は角スタッド(ロ型スタット)
- JIS規格品はC型スタッド
施工に手間がかかる分、施工費を上げてくる工事業者も中にはいます。
一般普及品を使うメリット・デメリット
- コストが安い
- 施工が早い
- 電気屋さんが配線しやすい
製品単価が安いと言うのが最大のメリットです。
また、JIS規格品のデメリットでも紹介した通り、角スタッドはC形スタッドと比べて施工手間がかかりません。
施工が早く工期短縮になるというメリットもあります。
更に一般普及品の角スタッドはJIS規格品のC型スタッドと違い、振れ止めが必要ありません。
そのため電気配線や設備配管の仕込みは容易です。
壁内に隠蔽配線・配管がある場合は一般普及品の角スタッドの方が施工しやすいでしょう。
- 材料選びを間違うと大変
「間違う」というのは、JIS規格品を使わなければいけない現場で間違って一般普及品を使ってしまうという事。
間違えたら単純にすべてやり直しなので大損害です。
考えただけでも恐ろしいですね。
失敗しないための材料の選び方!
JIS規格品と一般普及品、どちらを使えば良いのか?
材料選びで失敗したら最悪ですからね。失敗しないための選び方とは?
施工指針書、設計指針書をよく読む
どの現場でも「施工指針書」や「設計指針書」と言うものがあります。
呼び方は違うかもしれませんが、ルールブックのようなものです。
- 【施工指針書】施工に関するルールブック
- 【設計指針書】デザイン・設計に関するルールブック
このルールブックを必ずチェックしましょう!
材料の指定が書いてあります。
逆に指針書が無いような現場はJIS規格品を必ずしも使わなくても大丈夫です。
もしくは指針書に材料の指定がない場合もあります。その場合は当然JIS規格品を使わなくて大丈夫。
よく分からなかったらJIS規格品を使う
悩んだらJIS規格品を使っておきましょう。
とりあえずJIS規格品を使っておいて間違いはありません。
逆によく分からないから一般普及品を使ったら実はダメでしたなんてこともあり得ます。
一般普及品を使ってはいけない現場はあっても、一般普及品じゃなきゃダメ現場はありません。
よく分からなかったらJIS規格品を選ぶこと。
その為にもLGSのJIS規格品と一般普及品にはどんなものがあるかをしっかりと把握してきましょう!
コメント